等比数列の話をしてるわけじゃない

「ダンス・ダンス・ダンス」の前は「1Q84」、その前は
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読みました。
この「世界の終わりと・・・」で、ちょっとした発見をしました。

「ええ、そうよ。嘘なんかつかないわ。ほんとうに17よ。
でも17にみえないでしょ?」
「見えない」と私は正直に言った。」「どう見ても20歳(はたち)以上だな」
「17になんて見えてほしくないのよ」と彼女は言った。
「学校には行ってないの?」
「学校のことは話したくないの。少なくとも今はね。こんど会ったときにちゃんと教えてあげるわ」
「ふうん」と私は言った。きっと何か事情があるのだろう。

という一文があるのですが、英訳では、
「学校には行ってないの?」以降の文章が、バッサリとカットされていました。
最初は、欧米を念頭に置いて、なぜだろうと考えていたのですが、
英語も生活用語となっている国々、アフリカを含む全世界で読まれることを考えたときに、納得しました。
高等学校へ行くことが当たり前でない国では、この一文は成り立たないのです。
英訳とは、そういうことなんだな、と感心しました。

さて、「ダンス・ダンス・ダンス」です。

「我々は人間について話をしてるんだよ。等比数列の話をしているわけじゃない」という文が、英訳では、
“We’re talking about people, not common denominators.”
となっています。
denominator を辞書で引くと、1〔数学]分母 2共通の特徴;標準,基準 3命名者
となっています。
最初、何のことか分かりませんでしたが、
common denominators で数学の「通分」のことだ!と思い至りました。
やはり、これも世界基準で考えて、数列の話は当たり前ではないということなんだなと思います。まだまだ日本の教育レベルは高い!

何十年か後に、村上氏が
「我々は人間について話をしてるんだよ。通分の話をしているわけじゃない」
と書き直した改訂版を出さざるを得ない状況
は、何とか避けたいですね。