誤訳のような意訳

TOEICを受け続けていた時は、車の中はシャドーイングでした。
今は、村上春樹の英語のオーディオブックを聞いています。
一冊の本で約10枚~40枚のCDを聞くことになります。
CD1枚分の個所を読み終えるまで、ひたすらCDを聞き続けます。
読み終えるまで、5回~10回、多い時は15回以上聞くことになります。
今の私には、日本語のように飛ばし読みをすることもできません。
どっぷりと、村上ワールドに浸ることになります。
村上氏が読者の質問に答える雑誌の中で、
「英訳で読む読者は、真に村上作品を味わうことができないのではないか?」的な質問がありました。
私自身は、この質問に対して否定的ながらも、頭の片隅に残る質問でした。
現在、「ダンス・ダンス・ダンス」を読んでいます。
大きな発見がありました。
この本に出てくる多感で感性も感情も豊かな13歳の少女ユキと僕との会話は、
圧倒的に英文の方がいい。
多分にオーディオブックによる臨場感溢れる会話の影響もあるとは思いますが、
少女の、子供独特のストレートな物言いは、英語の方がピッタリとはまります。
逆に、34歳の同級生、五反田君との会話は、日本語の方がいい。
あくまでも、私の個人的な感想ですが。
村上春樹の愛読者で、英語を勉強している人、あるいは既に習得している人、
是非、「ダンス・ダンス・ダンス」のオーディオブックを聞いてみて下さい。

この「ダンス・ダンス・ダンス」
文庫本の下巻p107最後の行
「ジューンは脚を上げてピンクのハイヒール・サンダルを脱ぎ、床にころんとセクシーに転がした。」
という文が、英訳では
“June said, lifting her legs to remove her pink high heels. She then lay down on the floor, very provocatively."
となっています。
この lay は、lie の過去形として使われているので、ハイヒールを転がしたではなく、彼女が床に横たわったとなっているわけです。
一瞬、誤訳か?と思いましたが、「ハイヒールをセクシーに転がした」という意味が英文で伝わるのか?
と考えた時に、この訳し方しかなかったのかな、と思いました。
知り合いの英語の先生にも確認を取りましたが、同じ見解でした。